第一会社法指令:資本会社の開示・債務有効性・無効

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この指令の目的は、資本会社〔物的会社〕の開示、機関の代表権、無効に関するルールを調整することです。

法令

条約58条2項にいう会社に関して社員及び第三者の利益のために加盟国において定められた保護規定を同等のものとする調整を行う1968年3月9日の理事会の第一指令1968年欧州経済共同体68号(官報1968年3月14日L65号)

概要

以下の文章は、「会社について社員・第三者の利益のために定められた保護規定に関する指令」について、その後の改正を反映させた概要です。

この指令は、すべての資本会社を対象としています。この指令により、開示義務の原則が定められます。この開示義務は、まず第一に法的な情報(とりわけ、設立、定款、資本金、毎年の貸借対照表・損益計算書、会社本拠地の移転、会社の無効を宣言するすべての裁判所の決定、会社の存続期間と清算に関するすべての法律行為と決定)を対象としています。

また、開示義務は、選任、解任、法律上会社機関またはそのメンバーとして裁判上・裁判外で会社を代表する権限を有する人事についても対象とします。会社の管理・監視・統制に関わる人事についても、同様の規定があります。開示にあたっては、当該会社代表権者が、単独で会社を代表できるのか、それとも共同代表でのみ会社を代表できるのかを記載しなければなりません。

開示は、以下の3種の形式で行われます:

  • 第一に、公の登記簿に会社書類を添付することによる開示。
  • 第二に、加盟国の官報において公告することによる開示。
  • 第三に、業務書類に会社の法人形態・本拠地・登記簿・登記番号を記載することによる開示。

開示されない情報については、第三者に対抗することができません。この規定には、二つの例外があります。すなわち、第三者が当該情報を知っていたと会社が証明した場合には、当該情報について、会社は第三者に対抗できます。反対に、公告後15日間において公開された情報を知り得なかったことを第三者が証明した場合には、当該情報について第三者に対抗できません。

会社は、原則として、その機関(例えば、取締役である管理職)の行為に対して責任を負います。但し、この原則には例外があります。法律により与えられている権限を踰越する機関の行為については、会社は第三者に対して義務を負いません。もっとも、企業の対象に属さない行為については、会社は責任を負います。但し、国内関連法令が、第三者が情を知っていたこと又は情を知るべかりしことの証明を許容している場合には、この限りではありません。

指令はさらに、会社の無効について規定しています。すなわち、会社の無効は、裁判所による決定により宣言されなければなりません。

無効を宣言できる場合は、限定されています。例えば、設立の欠缺、設立の瑕疵、企業の実際の対象が不法ないし公序違反である場合、最低資本金の規定をみたしていない場合などです。

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