第二会社法指令:株式会社の設立、資本の維持・変更

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会社法分野におけるこの第二指令は、株式会社の設立・最低資本金要件・株主への配当・増資・減資に関する国内法令を調和させるものです。この指令は、債務者の利益のために資本維持を確実にするのに必要な条件を規定します。さらに、この指令により、少数株主の保護が保障されるとともに、すべての株主が同様の場合に同様に扱われる原則を規定しています。

法令

条約58条2項にいう会社に関して社員及び第三者の利益のために加盟国において株式会社の設立及び資本の維持ならびに変更について定められた保護規定を同等のものとする調整を行う1976年12月13日の理事会の第二指令1977年欧州経済共同体91号(改正法令参照)

概要

以下の文章は、「会社について社員・第三者の利益のために定められた保護規定に関する指令」について、その後の改正を反映させた概要です。

この指令が対象としているのは、株式会社です。社員と第三者の利益を保護するため、株式会社は特定の要件を満たさなければなりません。

この指令は、定款または設立行為に記載されなければならない特定事項を列挙しています(会社の法人形態・商号・企業の対象など)。

この指令は、開示しなければならない情報を列挙しています(本拠地、株式の形式、資本金の額など)。

指令は、会社設立について、以下の規定を置いています:

  • 引き受けられた最低資本金の額と構成。
  • 株式の発行と出資の払込。
  • 現金によらない出資。

配当金・利益の配当について:

前営業年度の期末に純資産が資本金の額を下回った場合には、配当を行ってはなりません。資本金の固定した投資会社については、特則が適用されます。

指令は、「資本金の著しい欠損」の概念を定義するとともに、このような欠損の場合の株主総会の招集義務について規定しています。

指令は、会社による自己株式の引受については、以下の規定を置いています:

  • 原則と例外
  • 相互的な資本参加(株式の持ち合い)

指令は、会社が供与する貸付金や担保についても、原則と例外の規定を置いています。

指令は、資本金の増加と減少についても規定しています。

指令は、会社による自己株式の取得の要件についても規定しています。

欧州経済共同体指令1977年91号の迂回を防止するために、理事会指令1992年欧州経済共同体101号による改正が行われました。この改正により、欧州経済共同体指令1968年151号の適用下にある会社と、第三国法の適用下にあり同様の法人形態をとる会社についても、指令の対象となりました。

リファレンス

法令施行日加盟国における転換期限官報
欧州経済共同体指令1977年91号1976年12月16日1978年12月17日
1979年12月17日
1980年12月17日
官報1977年1月31日L26号

改正法令施行日加盟国における転換期限官報
欧州経済共同体指令1992年101号1992年12月4日1994年1月1日官報1992年11月28日L347号

関連法令

株式会社の設立及び資本金の維持ならびに変更に関する理事会指令1977年欧州経済共同体91号を改正する欧州議会及び理事会の指令案(欧州委員会2004年730号、官報2005年1月29日C24号)

株式会社が資本に影響を与える措置をとることを容易にするため、欧州委員会は、次の内容の法案を提出しました。すなわち、第一に、株式の保有に関する若干の変更を可能にするため、加盟国が、特定の情報要件を廃止すること。第二に、資本減少に関する債権者のための法定手続について、調和された手続を加盟国が導入すること。資本金の量・構造・保有に関しては、株式会社は、市場の動向に迅速かつ安価・短期の手続で反応できなければなりません。

共同決定手続(COD/2004/0256

原文最終更新:2005年2月3日
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