旅行者免税

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この指令は、欧州連合(EU)加盟国・第三国間の旅行者による物品の非商業的な輸入について、欧州共同体の付加価値税・個別消費税の免除制度を設けるものです。

法令

第三国からの旅行者による輸入物品の付加価値税および個別消費税の免除に関する理事会指令案(欧州委員会2006年76号最終版、官報未登載)。

概要

欧州委員会は、旅行者による非商業的輸入の租税・個別消費税の免除に関する共同体制度の改革を提案しています。

適用範囲

この制度が適用されるのは、付加価値税・個別消費税のそれぞれについて調和したルールが適用されない国または地域からの旅行者の手荷物に含まれる輸入品です。

この免除規定は、第三国からの旅行者がEUへ免税で輸入できる上限金額または制限量を定めるものです。

上限金額

欧州委員会は、1人当たり価格220ユーロ(飛行機による旅行者は500ユーロ)以下の物品の輸入につき、加盟国が付加価値税と個別消費税を免除することを提案しています。

加盟国は、15歳未満の旅行者については、金額の上限を引き下げることができますが、いかなる運送形態が利用されたかにかかわらず、最低でも110ユーロについては〔免除を〕適用することになります。

加盟国は、「徴収すべき租税の額が10ユーロ以下である場合には、旅行者による物品の輸入に付加価値税も個別消費税も課さない」とすることもできます。

タバコの制限量

加盟国は、以下の最高・最低制限量の範囲内で、タバコ製品の輸入について免除を行うことになります:

  • タバコ(cigarettes):最高200本、最低40本。
  • 細い葉巻(cigarillos):最高100本、最低20本。
  • 葉巻(cigars):最高50本、最低10本。
  • 喫煙タバコ(smoking tobacco):最高250グラム、最低50グラム。

加盟国は、タバコ製品の制限量を引き下げることができます。

アルコールの制限量

加盟国は、指定された制限量に従い、次の種類のアルコール・アルコール飲料の輸入について免除を行うことになります:

  • アルコール濃度22度を超える蒸留による飲料およびスピリッツ(distilled beverages and spirits)または80度以上の工業用に変性していないエチルアルコール:1リットル。
  • 非発泡ワイン:4リットル。
  • ビール:16リットル。

タバコとアルコールの適用免除は、17歳未満の旅行者には適用されません。

背景

この指令案は、欧州経済共同体指令1969年169号を撤廃することです。同指令は、旅行者による物品の非商業的な輸入についての、現行の付加価値税・個別消費税の免除制度です。根本的な改正が数多く行われ、また、EU拡大による適合化の必要が生じたことに鑑みれば、現行の制度は、文言・構成を改めるとともに、簡素化をすべきです。

リファレンス

提案官報手続
欧州委員会2006年76号 - 諮問CNS/2006/0021

関連法令

共同体関税免税制度を定める1983年3月28日の理事会規則欧州経済共同体1983年918号(官報1983年4月23日L105号)

共同体関税免除制度(Community system of customs relief)は、通常であれば輸入品・輸出品に対して支払われる関税の免除の供与に関するものです。

海外旅行に際する輸入についての売上税および個別消費税の免除に関する法律、命令または行政規定の調和に関する1969年5月28日の理事会指令欧州経済共同体1969年169号(官報1969年6月4日L133号)。

原文最終更新:2006年5月15日
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