企業結合の審査〔「合併審査規則」〕(4/6頁)
手続の開始:欧州委員会
届出の受付後は、欧州委員会が、手続を開始し、審査を行い、制裁を課するのに必要な権限を有します。さしあたり、欧州委員会は決定により、以下のことを確定します:
- 届け出られた企業結合にこの規則が適用されるか。
- 当該企業結合は共同市場に合致するものであるか。
- 当該企業結合が共同市場と合致することについて、深刻な懸念の契機となる事柄はあるか。
「共同体全域の重要性を有する企業結合」は、原則として、届出前や届出後3週間経過前に履行してはなりません。これに反して、企業結合が既に履行されてしまい、かつ、当該企業結合が共同市場に適合しないものと宣言された場合には、欧州委員会は、関係企業に対して、当該企業結合の解消を命じるか、または、企業結合履行前の原状を回復するのに適当なあらゆる措置を講ずることができます。
届け出られた企業結合が規則の適用範囲に該当しても、共同市場との適合性について深刻な懸念をもたらすものでなかったり、共同市場に適合させるのに僅かな変更で十分である場合には、仮の措置を命ずることもできます。これに対して、当該企業結合が共同市場との適合性について深刻な懸念の契機をもたらすものである場合には、欧州委員会は、関係者・関係企業に対し、追加的な情報を要求することができ、場合によっては、徹底的な現場検査を行うこともできます。欧州委員会は、当該企業結合を共同市場に適合させるために必要な変更を要求することができます。
欧州委員会は、単なる照会または〔正式な〕決定により、参加当事者に対して、補充的な情報を(要求する情報が職務上の秘密に属すると分かっていても)要求することができます。欧州委員会は、検査を行うこともできます。委任を受けた欧州委員会職員やその他の権限を与えられた者には、書面の委任状を提示して、以下の行為を行なう権限があります:
- すべての場所・土地・交通手段に立ち入る権限。
- 帳簿その他の営業書類を検査し、その写しを作成する権限。
- すべての営業空間・帳簿・書類を封印する権限。
- 事実や営業書類についてすべての企業代理人に説明を要求する権限。
企業が検査に応じない場合には、委任を受けた職員は、該当する加盟国当局の協力を受けることができ、場合によっては公権力が行使されます。委任を受けた職員は、国内法を遵守しつつ検査を行います。
そのほかこの規則では、修正措置の徹底的な審査や加盟国への諮問により多くの時間が割けるよう、義務承諾の提出期限を3週間延長(最長で90営業日まで)することにより、欧州委員会が企業結合の審査の時間的枠組をフレクシブルに組めるようになっています。さらに、この規則によれば、参加企業が手続の開始後54営業日以降に義務の提示を行った場合、または、参加企業(または、参加企業の同意を得て欧州委員会)の申請により、最長で3週間から4週間のさらなる期限延長ができることとされています。
この規則の遵守を確実にするため、欧州委員会は、以下の制裁を課することができます:
- 過料(Geldbußen):欧州委員会は、企業が故意または過失により不実の陳述・誤解を招く陳述・不完全な陳述を行ったり、期限内に情報を提供しなかった場合、および、企業が検査中に行われた封印を損壊した場合には、当該企業に対して、最高で総売上の1パーセントまでの過料を課することができます。
欧州委員会は、企業が故意または過失により履行前に企業結合の届出を行わなかったり、欧州委員会の決定に違反した場合には、最高で当該企業の総売上の10パーセントまでの過料を課することができます。 - 強制金(Zwangsgelder):欧州委員会は、企業に対して、情報提供・検査〔等〕に関する決定によって定められる時点からの遅延の営業日ごとに、最高で1日あたりの平均総売上の5パーセントの強制金を課することができます。
欧州委員会は、共同市場への適合性・不適合性の決定や、罰金・強制金を課する決定を行う前に、加盟国管轄当局の代表者により構成される諮問委員会の意見を聞かなければなりません。欧州司法裁判所は、過料や強制金の取消・引き下げ・引き上げを行うことができます。
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